様々な原因と症状を伴う「うつ」

「うつ」は、気持ちがふさぎ、心が晴れない様子をいいます。
嫌なことがあった時、思い通りにいかずつらい時など、誰しもが経験することです。
これは正常な心理反応の一種で、たいていの場合は時間が過ぎると自然に和らいでいきます。

一方、うつが長く続くと、医学用語で「抑うつ状態」と表現され、病気の可能性があります。
以下のような精神面の症状を伴います。

  • 気分が落ち込む、滅入る、悲しいなど。心が晴れる時間がほとんどない
  • 今までやっていた活動や趣味への興味が持てない、楽しめない
  • 食欲不振
  • 不眠、睡眠の変化
  • 思考力や集中力が低下している、考えがまとまらない、決断できない
  • 疲労感が強い、気力が出ない、億劫である
  • 話し方や動作が遅くなっている、言葉が出づらい、じっとしていられず落ち着かない
  • 自分を責めてしまう、自分は価値がないと感じる
  • 死ぬことについて考えてしまう、いなくなってしまいたいと思う

症状の種類や程度は個人差があります。
様々な身体症状を伴うことがよくあります。
症状が重くなってくると、仕事や学校に行けなくなったり、日常生活に支障が出たりします。
抑うつ状態を呈する病気は様々あり、以下のような病気や要因との関連性がはっきりしている場合や、はっきりしない場合があります。

  • 身体的疾患
    – 内分泌疾患:甲状腺、副腎など
    – 脳血管疾患:脳梗塞、脳出血など
    – 栄養代謝障害:ビタミン欠乏、鉄欠乏、亜鉛欠乏、電解質異常など
    – 免疫疾患:SLE、リウマチ、AIDSなど
    – その他 てんかん、糖尿病、感染症、悪性腫瘍、慢性疼痛など
  • 内因性精神疾患(うつ病、躁うつ病:双極性障害など)
  • 身体疾患の治療薬
  • アルコール
  • 月経周期
  • 季節(冬季うつ)
  • 出産(産後うつ)

要因をはっきり見極め、それぞれ適切な対処や治療を行う必要があります。
ストレス性疾患(適応障害、ストレス反応など)との判別が難しい場合もあります。
また、高齢者の方の抑うつ状態は、典型的な症状と異なる場合があり、注意深く対処する必要があります。
気になる症状がある方、家族から指摘された方、お早めに一度ご受診ください。

院長 河野敬明

心と眠りのクリニック中野
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精神科・心療内科・老年精神科