夏休み明けの心身の不調について

お盆休みや夏休みが終わり、仕事や新学期が始まる時期、「なんだか体がだるい」「気分が上がらない」「子どもの様子がいつもと違う」といった不調を感じていないでしょうか。長期休暇明けの不調は、大人だけでなく、子どもたちにもよく見られます。今回は、大人と子どもそれぞれの不調のサインと、その向き合い方についてお話ししたいと思います。

長期休暇明けに大人が感じる不調の多くは、自律神経の乱れが原因です。休暇中のリラックスモード(副交感神経優位)から、仕事や家事の活動モード(交感神経優位)への急な切り替えがうまくいかず、心身のバランスが崩れてしまうのです。

身体の不調:倦怠感、不眠、食欲不振、頭痛、肩こりなど
精神の不調:憂うつな気分、集中力の低下、無気力、イライラなど

セルフケアのヒントとして、以下のようなものがあります。

  • 「頑張らない」と決める
    休暇明けからいきなりフルスロットルで頑張ろうとせず、まずは「今日はこれだけできればOK」とハードルを下げてみましょう。完璧を目指さず、ゆるいスタートを心がけることが大切です
  • 規則正しい生活を取り戻す
    決まった時間に起き、朝日を浴びることで、体内時計がリセットされます。食事の時間もなるべく一定にし、生活リズムを整えることで、自律神経のバランスも安定してきます。
  • 質の良い睡眠
    寝る直前のスマホやPCは避け、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かるなど、リラックスできる時間を作りましょう。

子どもの不調、見逃さないでほしいサイン

夏休み明けは、子どもたちにとって大きな環境の変化です。生活リズムの乱れだけでなく、学校での人間関係や学習への不安など、さまざまなストレスを抱えやすくなります。

  • 身体の不調
    朝起きられない、頭痛や腹痛を訴える(特に朝に多い)、食欲がない、熱はないのにだるそうにする
  • 行動や感情の変化
    以前は楽しんでいた遊びに興味を示さない、イライラしやすくなった、引きこもりがち、親から離れない、夜泣きや爪を噛むなどの行動が見られる

これらのサインは、子どもが「学校に行きたくない」「つらい」というSOSを発している可能性があります。

親ができることとして

  • 子どもの話をじっくり聞く
    「どうしたの?」と問い詰めるのではなく、「夏休み明け、ちょっと疲れてるのかな?」などと、子どもの気持ちに寄り添う声かけをしてみましょう。子どもが話したがらない場合は、無理に聞き出そうとせず、「何かあったらいつでも話してね」と伝えるだけでも安心感を与えられます。
  • 完璧を求めない
    「夏休みの宿題が終わっていないから」「友達と喧嘩したみたいだから」などと原因を決めつけず、まずは子どもが安心して休める場所を提供してあげましょう。
  • 小さな変化を褒める
    「今日は自分で起きられたね」「ご飯を少し食べられたね」など、小さな変化に気づき、褒めることで、子どもの自己肯定感を育むことができます。

夏休み明けの不調は、大人も子どもも決して珍しいことではありません。つらい時は、「自分だけじゃない」ということを思い出してください。

もし、「どうしたら良いかわからない」といった不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

院長 河野敬明

心と眠りのクリニック中野
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精神科・心療内科・老年精神科